ぶしゅかんは酢ミカンの一種で、古くから四万十川流域で栽培されています。夏(7~9月)には欠かせない果汁で、流域の食文化として古くから根付いています。 しかし、生産量の少なさから近年まで「幻の果実」と言われており、四万十川流域でしか流通していませんでした。近年、四万十市の特産品としてブランド化を目指し、官民一体となって産地化に取り組んでいます。 初夏の旬である「メジカにぶしゅかん」は地域内では合言葉となっており、それを目当てに訪れる観光客も多くなっています。 ぶしゅかんは、食材の味を引き立てるさわやかな香りが特徴で、お刺身、焼き魚、五目寿司など様々な料理に使われています。
私が生まれた時から、ぶしゅかんは多くの方に愛されています。特に田舎に行けば多くの家で、庭先や裏庭に1,2本はどこにもあり、地域に根付いた「食の文化」になっています。 特にメジカの小さいときシンコと呼びます、こちらではロウソクと呼びますが、丁度ぶしゅかんが取れはじめ、この刺身にぶしゅかんを皮を切り込み、ぶしゅかんの酢をかけてたべると、口の中でもちもちし、最高です。高知県内では他の地域でもシンコ祭りを最近行っており、非常に人気の高いイベントとなっています。この主役はシンコとぶしゅかんです。ぶしゅかんでなけれなば、他の酢ミカンではこの祭りは成り立たないのです。それほどぶしゅかんは、魚と相性がいいのです。 ぶしゅかんの味にほれ込んで、一生懸命に木を育て果実を提供してまいります。
実は四万十市では、今から50~60年前、中村地区で温州ミカンを多くの農家がつくっていました。42年前、雪が3日間降り続き、多くの木が枯れました。私の父から「この地域では、2回目だ」と聞かされました。そして地域は温州ミカン栽培を止めました。その時に枯れなかったのが、ぶしゅかん、橙、小夏のミカンでした。 令和2年度も雪が3回降り、そのうち1回は3日間降り続きました。 温暖化と言われていますが、異常気象のせいで北極振動が起きた場合、北極の冷たい大気が日本に流れ込んできます。”寒さに強い酢ミカン”=”地域に根差していたミカン”=”ぶしゅかん”をこの地域で栽培することは後世・子供たちに残せると考えて、取り組んでいます。